北の大地で研修中 ニポラー日記
家庭医・総合医をめざして北海道の各地でニポラー(ニポポ研修医ニポポ研修OB)が活躍中です。 そのニポラー(研修医とOB医師)と指導医の日記です。楽しんでお読みください 。
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2010
07,26
11:56
医者の本分
CATEGORY[未選択]
難しいことを難しい顔をしながら行うのが医療、というわけではない。発展途上国を見ればすぐわかるように、感染症や脱水、飢餓で亡くなる数のなんと多いことか。医療者は簡単なことですぐに治る病態を見逃してはいけない。
H
さんは
91
歳。元農家で屋外の仕事は私の仕事と決めている。そして
3
日間炎天下で草刈りをして動けなくなり救急搬送された。
診察する前よりどんな状態か想像がつく。食事は摂れていなくて、皮膚や腋下が乾燥していて、ツルゴールが落ちているだろう。体温は高く、少し脈が速いだろう。そしてデータでは少しヘモコン(濃縮)で、
CPK
やミオグロビンがやや高めか。もしかして血尿も少しあるかもしれない。
実際に到着するとその通り。少しぐったりして元気がない。無理をすれば
500
ほど点滴して帰ることもできたが、家にこのまま帰るのはちょっと…と家族。それはそうだろう。このまま食べられなければ明日また来なくてはならない。高齢でもあるし点滴目的で入院となった。
というわけで点滴。当日と翌日は少し多めに1リットルほど点滴。その翌日より心臓への負担を考えて
500ml
に減量した。
人間とは不思議なもので、普段意識していなくても生物なのである。特にこのような自然とともに生きて来た人はそう。点滴でものの数時間もすれば体に潤いが出て来た。当日の夕食はばくばく食べていた。翌日には元気、元気で少し不穏になった。そして
「私はなぜこんなところに入院しているのか。早く帰してください。」
とおっしゃる。素晴らしい。生命の素晴らしさを感じる。生物が生きる、その根源的なところを介助出来たような気がして嬉しい。なぜか患者さんからは恨まれているのだけれども。
医学は無限に広がっているので、人体のほんの数センチに対する専門家というのが各科にたくさんいらっしゃる。それはそれですばらしい医学の成功を示していると思う。しかし、我々は根源的な生命に対する畏怖とか尊敬とかを持って医療を行いたい。それらを毎日なんだかんだで味わうことができて幸せである(たいへんだけど)。
[5回]
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