北の大地で研修中 ニポラー日記
家庭医・総合医をめざして北海道の各地でニポラー(ニポポ研修医ニポポ研修OB)が活躍中です。 そのニポラー(研修医とOB医師)と指導医の日記です。楽しんでお読みください 。
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2010
07,14
12:46
日々の診療
CATEGORY[未選択]
今まで大きな病気をしたことがない69
歳の女性が悪寒戦慄を主訴に内科を受診した。
話を聞けば、何週か前より頻尿になり、受診前日にはぶるぶる震えるような、そして夏なのに分厚い布団をかけないと過ごせないくらいの寒さを感じるようになった。倦怠感で食事もとれず、これはまずいと思い、病院嫌いではあったが、家族の勧めもあり受診した。
バイタルは体温が高いほかは問題なし。ショックにはなっていない。血管を絞める必要はなさそうだ。しかし確かに
sick
な様子で敗血症などは鑑別に挙げたほうがよさそうだった。診察では左の
CVA
叩打痛が陽性。尿路感染、腎盂腎炎などが強く考えられた。
点滴ルートを確保し、血液検査や検尿、培養検査を提出。培養検査は血液培養
2
セットと尿培養。手順通り。そして迅速に腹部エコー検査を行い、尿路に閉塞がないことを確認。これも手順通り。考えられる限り教科書通りに臨床推論をすすめる。
検査が返ってくる。白血球
17000
、
CRP18.0
。白血球は感染を示唆する左方移動を示している。検尿ではタンパクとともに潜血反応、細菌が検出される。よしよし。推定通り。尿路感染症で矛盾しない。
このあたりで家族に途中経過を説明する。尿路感染の可能性が高いこと、現在はその程度やどんな菌がいるのか調べていること。食事も摂れずたいへんだと思うので入院が必要なこと。家族はふんふんと聞いている。
次に尿のグラム染色(どんな細菌が原因菌か尿を染色して調べること)を行う。陰性桿菌多数。ところどころ
貪
食像も見られる。いずれも代表的な尿路感染症の起因菌は陰性桿菌の大腸菌であるし、今までの所見に矛盾しない結果。これで診断確定だ。大腸菌による尿路感染症だろう。
ここまで来て患者の状態を見ながら輸液と抗生剤を決める。食べれていないな。尿にはケトンも出ていた。糖を加えたほうがいいかな。抗生剤はどうだろう。まさか
ESBL
産生菌ではないだろう。エンテロの可能性は少ないからユナシンは得策ではないだろう。しかしいきなり狭い範囲の抗生剤もいけないだろうか。ロセフィンあたりがよいだろう。よし、そうしよう。
結構、緻密に考えてひとりで満足する。これでよし。あとは
3
日後に検査をフォローして終了だ。今までのことをひととおり患者、家族に説明する。よくわかりました、そうですか…よろしくお願いします、と言われる。これでよし。自己満足して帰宅する。
そして
3
日後。患者は完全に軽快した。解熱し元気でもりもり食事を摂っている。そしてこう言う。
「あの、ところで私って食当たりか何かだったんでしょうか。」
いいんです。それでいいんです。私、誰かに褒められたくてやってるわけじゃないですから。ちょっとがっくりくるけど。
[2回]
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