北の大地で研修中 ニポラー日記
家庭医・総合医をめざして北海道の各地でニポラー(ニポポ研修医ニポポ研修OB)が活躍中です。 そのニポラー(研修医とOB医師)と指導医の日記です。楽しんでお読みください 。
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2010
12,03
13:04
青森紀行6
CATEGORY[未選択]
さて三内丸山へ。何度も書くが、自転車なので遠いと嫌だなあ、と思っていたのだが隣だった。まずはほっとする。
入り口は近代的で一見、遺跡とは思えない造り。しかしゲートを越えると広大な縄文遺跡が広がっていた。
読者に注意。この遺跡、個人で探索しようとしてもよく理解できない。頻繁にボランティアガイドがツアーを組んでいるので、面倒でもそれにくっついて行った方がよい。確か1時間に1回くらいはガイドしているのではないか。無料である。
遺跡にはまるでチセのような堅穴住居や祭祀か集会に使ったと考えられる大型住居が再現されている。住居は木に穴をあけ組み合わせて造る複雑なものだったらしい。櫓はうちころび工法で造られ、数度の傾きが特徴だという。
三内丸山からはいわゆる土偶も多数出土している。板状土偶というもので、平たい十字架に細工したような土偶。出土する土偶は皆女性だそうだ。女性は巫女的な役割が大きかったのかもしれない。
土器は華やかだ。縄文中期の頃は非常に華やか。いわゆる縄文だけでなく様々な模様があって楽しい。どことなくアイヌ文様に似ていた。漆塗りの土器もあって驚きだった。そんなときから漆を工芸に利用していたなんて。この地に思ったより大きな文明が花咲いていたようだ。
三内丸山ではいくつかの道が再現されていたが、これも復元の道らしい。この道はいずれもその周囲に埋葬した跡があるという。埋葬は屈葬も多いが、進展葬もあるらしい。それが数百メートル続く。環状列石もあって、これらも祭礼や葬儀と関係していると推測されている。
道具類はまことに興味深い。縄文ポシェットなる綾織りもあった。この技術、今に至るまで脈々と受け継がれていると思うと、古代の技術の高さに驚きを隠せなかった。
根本的な話だが、ガイドの話では三内丸山遺跡の最盛期、青森はもっと暖かかったらしい。雪も少なかった(あるいはなかった)。したがってこのような大規模集落が誕生したという背景があるそうな。なるほど。
失敗した土器も展示されていた。これを作った人はまさか
2000
年後に失敗作が展示されると思わなかっただろう。残念!
興味を持ってガイドの話を聞くのは人生の晩年の方々ばかりで、修学旅行生と思しき一行は、所在無げにガイドに付いてぞろぞろと歩いていた。ガイドは
「いいですか、これだけは覚えて帰ってください。三内丸山は広い、大きい…」
選挙か。いかにも日本らしい光景。面白く感じた。
三内丸山遺跡は展示も工夫され面白かった。博物館は写真撮影が許可されており、自由な雰囲気もあった。しかし地元民のお祭りをしていたが、静かな遺跡を楽しみたいのに、地元中学生が歌って踊って、しかも誰も見ていなかったのはいただけない。イベントは中止してもらいたい。
三内丸山はいかにも広く、そして縄文の文化を伝える絶好の場である。おしてその文化は北方のアイヌ文化に近く、奥州のいわゆる「まつろわぬ人々」の祖先となったものである。赤坂憲雄が言うように北からの視点で日本の歴史を捉えなおすことは重要だ。彼は「東北学」の中で芭蕉的なものを排除せよ、と唱える。中央から一段高い視点から周辺を見下すのはもうやめた方がよい。三内丸山からいま我々が置かれた文化的観念を根底から書きかえる作業が始まるかもしれない。そんな可能性を彼の地で感じた。 (飽きたかもしれないが、続く)
[3回]
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