北の大地で研修中 ニポラー日記
家庭医・総合医をめざして北海道の各地でニポラー(ニポポ研修医ニポポ研修OB)が活躍中です。 そのニポラー(研修医とOB医師)と指導医の日記です。楽しんでお読みください 。
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2010
12,06
15:41
青森紀行7
CATEGORY[未選択]
さて行った限りは戻らねばならない。これがたいへんだった。すでに日が傾きかける時刻になりつつある。
自転車を漕ぐ途中でブックオフを見つけた。あることが気になって入る。文庫本の太宰治を探す。あった、やはり…「津軽」が一番多かった。さすが青森。せっかくなので「ヴィヨンの妻」を買う。
200
円。
次の行き先を迷う。実は郷土館にも行きたいし、棟方志功記念館にも行きたかった。明日はねぶたの里…と思っていたので迷う。いろいろ考えて次の日はのんびり郷土館に出かけることとし、棟方志功記念館へ向かった。
遠かったが
4
時前には着いた。校倉造りの展示館は思っていたより小さい。観光客はまばらだった。
中身はすばらしい。うす暗い記念館の中に作品が照らされ、それが晩秋のイメージと重なり幽玄の美しさがある。県立美術館よりはるかに訴える力のある作品が並ぶ。僕の好きな「宇宙頌」「釈迦十大弟子」など。インパクト大アリ。すごい、来てよかった。「女人観世音」「天網の柵」なども素晴らしい。入館者も少なくゆったりと見られるのは魅力的である。
入館してすぐのところに棟方志功のビデオがエンドレスで流されているコーナーがある。ビデオは祭り囃子を流す。一瞬、展示室に誰もいない時があった。誰もいない展示室で遠くに津軽三味線を聴きながら、ただ作品を見る。棟方志功の作品は私に問いかけてくる。お前はどのように生きていくのか、生きたいのか。お前にとって祈りとは何なのか。そして空間が揺らぐ…
人の声がして我に帰る。得難い時間だった。やはり棟方志功の作品は好きだ。純粋に作品が造られている気がする。誰にでも気軽に語りかけてくる。
ここで図録を買った。めちゃ重かったが満足だ。
青森駅へ。本当は県立郷土館にも足をのばしたかったが、もう遅い。今日は諦めよう。それより本日の泊まり、浅虫温泉へ早く辿り着き、酒でも飲もう。私はワクワクして奥入瀬ビールという地ビールと缶の地酒を買った。
浅虫温泉は阿房列車にも太宰治の津軽にも登場するが、あまり良い紹介のされ方はしていない。「津軽」に至っては
自分の故郷の温泉であるから、思い切って悪口を言うのであるが、田舎のくせに、どこか、すれているような、妙な不安が感ぜられてならない。
他、ひどい書かれようである。というわけで若干不安だったのだが、鄙びた温泉街、というのも男の一人旅っぽい感じがして、かえって泊まってみる興が起こったのである。
宿は小さいところを選んだ。あまり大きな旅館だとそれだけで幾分、興ざめである。
1
日
4
組しか泊まれないという家族経営の、いわば民宿のような所。古い民家風の建物で落ち着きがあった。川のたもとにあって、中ではせせらぎが聞こえた。
その日の宿泊客は私だけ。宿の人は他の宿の温泉や津軽三味線ショーを勧めてくれたが、なにせ日中の自転車こぎでヘトヘトだったので遠慮した。
風呂は小さな檜風呂。匂いがいい。独り占めなのもいい。小さいが満足。のぼせるまで入った。
そして食事。すごい。青森が出てきた。思いだせるものでは、刺身、ナマコ、味噌焼き、ホタテ、その他その他。お銚子が進んだ。先ほど買った奥入瀬ビールも飲む。私は味の評価が出来ないのだが、何を食っても、何を飲んでもなかなか旨かった。
しばらく部屋で本を読んだりしていたが、退屈してきたので、バーで飲む。バーといっても1階の食堂の脇にある休憩所だが、雰囲気はなかなかよい。ウイスキーを飲んだ。さきほど買った「ヴィヨンの妻」を読んだ。
酔っ払ったところで就寝。疲れていたので、すぐに眠ってしまった。
翌朝は7時に起床。前日の二日酔いもなく清々しい朝。朝食に案内された部屋は古木を生かした梁からステンドグラスがかかる和洋折衷だった。朝ごはんは適度な分量で地元の食材を使った和食。少し塩分が多めで酒の毒抜きには丁度よかった。
残念ながら本数の少ない青森行きのローカル線に乗ろうと思うと、もう一度温泉に入る余裕はなかった。しかし宿の人の
「いってらっしゃい。」
に送られて元気に出発。浅虫もいいものだ、と思った。太宰や百閒先生に教えてやりたい。(次回たぶん最終回)
[3回]
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